「新しいアジアの音」をめざして


「天 河」
〜TENGA〜



これまでクラッシックの作曲法やジャズ理論など、
西洋文化から起こった音楽を勉強してきた。
それらは確かに洗練されていて、方法論としても完成の域にあると思う。

 しかし、実際にアジア人が世界を舞台に演奏するとき、もっとも重要視されるのは
理論や技術よりもその音楽家が生まれ持った独自の
『アイデンティティー』 であることを、アメリカ滞在経験を通して痛感した。
以来、
『アジアの音=こころの音』 を強く意識するようになった。

 もし世界中の人々に

こころの音=郷(さと)の音
と感じてもらえるような
新しい音楽が創れたら…。

 暖かい土、柔らかい木の葉の感触やその香りを表現するばかりでなく、
アジア人が持つ独自の「気遣い=優しさ・思いやり」や「力強さ」を「音」にできたら…。

 その音が世界の人々を励ましたり、癒したりすることができたら…。

 それは音楽家としての「天命」を全うしたことだと思う。

 そんなことを考えながら20世紀最後の年を過ごしてきたが、ようやく目指す
『新しいアジアの音』の扉が開き始めた、確かな手応えを感じている。